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2018年10月11日木曜日

気付きへの目の付け所 シリーズ2


気付きへの目の付け所 シリーズ(2

1. 新しいことに気がつくとは?
 
世の中には勘の鋭い人がいて、通常何でもない事柄から新しい知識・情報を引き出す人がいます。そのような例を2つ挙げてみましょう。

1つは、松下電器の2またソケットに関するものです。松下幸之助氏がソケットを売ってまわっているとき、薄暮れの街角で、
「電灯をつけないと本が読めないじゃないか。アイロンを止めてくれよ」
「もう少しだから待って」
という会話が聞こえてきました。彼はこれをヒントに2またソケットを思い付き、それが今日の松下電器の基となりました。
もう1つの例として、タイヤ業界の雄であるブリヂストンを創始した石橋正二郎氏が挙げられます。彼は当時久留米で足袋を作っていたが、商用で上京したとき、東京では市電はどこまで乗っても料金は一定であることにハッとくるものを感じました。当然のことながら、足袋にも多くのサイズがあり値段が異なっています。しかし、値段を統一すれば管理費が下がり、その分だけ安い値段で済ませることができるのではないかと思い至り、これをすぐ実行しました。

同じ事実を見たり聞いたりした人は、他に大勢いたはずです。なぜ、このような普通の出来事(すなわち事実)の中から、問題を嗅ぎ取り重要な情報を引き出すことが彼らにできたのでしょうか。そもそも事実とは何でしょうか。このような問いを立てて、気付きの問題に分け入りましょう。


.1 事実について
‘これは事実です’といえば、我々はそれが客観的な事柄のように受け取ってしまいます。‘事実’という言葉には、それほど人にその内容を押し付ける強い響きがあります。しかし、既に起きたある出来事は、誰が見ても同じなものでしょうか。目を凝らして、見つめ直してみましょう。

 関心のある事が見える
たとえば、電線に鳥が3羽とまっているとします。
鳥に関心を持てば、その鳥は何という鳥か。雄か雌か。何歳か。健康状態は。重さは、おおきさは。電線に関心を持てば、どんな種類の電線か。どこのメーカか。鳥により電線がどれだけたわんでいるか。その他いくらでもつまらぬ質問ができます。これらの中の何が分かれば事実が分かったといえますか。
実際、我々がある事柄を取りあげて、「これが事実です」というとき、それは多様な実態の中から自分の関心のあることのみを取り上げているのです。すなわち、意識的にせよ無意識的にせよ、ある目的に沿ったもののみを取り上げているのです。したがって、 

関心のあることはみえ、関心のないことみえない。

これは、人間に限ったことではありません。
  

秋も更けていくと多くの虫が鳴き競い、我々日本人には風情のあるものであるが(ただし、西欧人には単にうるさいとしか感じないらしい)、個々の異なった種類の虫は他の種の虫が鳴いているのをどう聞いているのでしょうか。お互いにうるさいので、自分を主張するためできるだけ大きく鳴こうとしているのでしょうか。じつは、コオロギの雌は雄の歌だけを聞いているのです。その聴覚は、雄の発する音の振動数に同調していて、その他の音は聞こえないのです。いや、聞く必要がないのです。彼女たちの関心は、雄の発するメッセージを聞くことにあるのだから。虫は、多くの刺激の中から自らに必要なもののみを選択して受け入れているのです。



これは、人間を含めて全ての動物についていえることです。長い進化の過程で、動物はそれぞれの環境の下で、生き残るという大目的に沿って、自分に必要な情報に敏感に反応するようになっています。人間の認識もまた、自分の知りたいことを知るという目的に沿って行われています。言い換えれば、起こっていることを自分の関心のあることに沿って理解し意味付けしているのです。




たとえば、我々に好きな異性がいるとき、相当多くの集団の中からでもそれを素早く見つけ出します。非常な関心があるからです。



すなわち、われわれが事実と呼んでいるものは、実際に起こった多様な事柄の中から自分に関心のある部分のみを切り取ったものなのです。

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