ページビューの合計

2018年6月20日水曜日

ものごとの類似性について(その2)



物事の類似性について(その2

1) 形式レベルの類似
類似性の最初のレベルは、形、リズム、パターン等の形式が似ていることです。我々は、まだその理由は分からないけど、互いに関連のなさそうな事象間に、同じような形式に従っていると思えるものを見つけることがあります。たとえば、木の葉っぱを日に透かしてみると葉脈が葉全体にきれいに広がっているが、この様なパターンは肺の気管支の分岐を写真でとったもの、大きな河の支流を航空写真でとったもの、あるいは雷が落ちたときの稲妻の写真にも似ています。
    
 




 乾燥期の田んぼ等に生じるひび割れの文様と、陶器の上薬にあらわれるひび割れは似ており、蜂の巣やキリンの模様にも似ています。

ワラビの渦巻きと貝の渦巻きはよく似ています。
海に生じる渦と大星雲に見られる渦とは似ています。
天気図でみる雲の渦巻きと星雲の渦巻きはそっくりです。
ヘビの動きと川の流れ方(蛇行)とは似ています。
わかりやすい文章は、その構成が‘起承転結’という形式にしたがって、その意味でよく似ています。
7音階、虹の7色、7人の敵等、ラッキー7等、7という数字がよく使われます。

このように、まず形式が似ていることに気づき、それから、それがなぜ似ているかの隠された原理が見付かれば、それは重要な視点に発展する可能性があります。
植物における葉脈の広がりと動物における肺の気管支の分岐の様子がそっくりであることは、双方とも、きわめて多くの散らばった地点になるべく均等に効率よくあるものを分配せねばならないという背景から説明することができます。植物の葉の場合は、水および栄養物の分配であり、動物の肺の場合は酸素の分配です。

形式の類似から出発して大原理に達したスケールの大きいものの例として、2つ挙げておきましょう。

一つは、‘大陸移動説’です。これは、1915年にドイツの地質学者ウェーゲナー(Alfred Lothar Wegener) が、南アメリカとアフリカの海岸線が似ていることをヒントに考え付いた‘大陸は動いている’との説です。当時この説は一笑に付されオカルトであるとさえ言われました。しかしその後、地球の外殻はテクトニックプレートという溶岩の上に浮かぶ巨大な板の集まりであることが分かってきました。これにより、ウェーゲナーの直感は正しかったことが分かり、また、地震発生の科学的な説明も可能になりました。

もう一つは、‘周期率表’です。1869年、ロシアの化学者メンデレーエフは、それまでに分かっていた化学元素を重さの順に並べることにより、類似の化学的性質が周期的に現れるという重要なパターンを見抜きました。そして、このパターンより、逆にまだ見つかっていない元素の性質を予言しました。この予言は、大変正確なものでした。この周期率表により、化学が科学となっていくのです。


0 件のコメント:

コメントを投稿