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2018年6月7日木曜日

流れ星への願い


流れ星への願い                  

 皆さんは“流れ星への願いはかなう”などという乙女チックなことが今更信じられるかと先ずは頭によぎるでしょう。ところが、これは本当なのです。これを説明しましょう。
この発見は、かってわたしが閃きのメカニズムについてぼんやりと考えていたとき、頭に浮かんだことでした。

閃きに関し、難問に対する回答をパッと見出した例の一番古典的なものは、アルキメデスの次のような王冠の話しでしょう。

「その昔、アルキメデスの保護者であるシラクサの君主ヒエロは、他国からの貢ぎ物の王冠が純金ではないのではと疑っていた。そして、この真偽の調査をアルキメデスに命じた。王冠を溶かして正方形にすれば比重が分かり、金かどうかの真偽がはっきりする。しかし、贈り物を溶かすわけにはいかない。
アルキメデスは、ある日風呂に入っているとき、体をいれる度に水があふれ出るいつも見かける風景を何気なくみていた。そして、突然、あふれる水は自分の体積に等しいことに気がついた。すなわち、王冠を壊すことなくその体積を測る方法に気付いたということだ。このとき、喜びのあまり裸のまま‘ユーリカ(発見した)’と叫びながら表に飛び出したことは有名です。」

多くの閃きの例を調べてそれが起きたときの状況を整理すると、いくつかの特徴が浮び上がってきます。

第1に、強烈な問題意識の存在です。‘これは何なのだ’と常に考え続けている状態です。問題の存在すら分からない混沌とした状況であっても、解決すべきものがあるに違いないとする一種の信念ですね。

第2には、リラックスした状態です。これは第1に掲げたものと矛盾するようにみえますが、意識上で、当面の問題に関係しない楽しいことに従事しているリラックス状態が必要なのです。緊張が解けた状況の下で、意識に強く刷り込まれた問題意識が無意識領域に持ち込まれ、そこで解の候補が試行錯誤的に試されるのではなでしょうか。そして、従来の枠組みを超えた奇想天外なことが問題の解として組み合わされ、それがたまたま良いアイデアであったとき、閃いたというのです。

無意識領域における試行錯誤によるアイデア作成の場面では、無意識は意識に渡すべきものをどのように知るのか、これも難しい問題です。ポアンカレは、これを美意識の働きといっています。この美意識が、変転極まりない無意識の世界を調べまわし、自らの美の基準に適ったもののみを意識の世界に送っていると主張しています。

よい閃きは、何がなんでも解答を得ねばならないというような圧力の下では、かえって得られません。これを示す、次のようなニワトリの実験があります。

「飢えたニワトリと餌の間に金網を置く。ニワトリは餌が金網のそばであればあるほど、また、飢えの度合いが大であればあるほど、金網に直接ぶつかって失敗を繰り返し、金網を迂回することは思い付かない。」

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